Enterprise Managerのプロセス (EM12c vs. EM13c)

原文：Enterprise Manager Processes, EM12c vs. EM13c 

Enterprise Managerを(13cに)アップグレードしたり新規に構築しようとしている皆さまのために、EM12c 12.1.0.5から最新のEM13c 13.1.0.0で変更された点(ささいながら重要な変更)について少し書いてみたいと思います。

EMのプロセス

emctlコマンドでEM12cを起動すると、「何が」起動されているかがわかります

$ ./emctl start oms
Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Release 5
Copyright (c) 1996, 2015 Oracle Corporation. All rights reserved.
Starting Oracle Management Server...
Starting WebTier...
WebTier Successfully Started
Oracle Management Server Successfully Started
Oracle Management Server is Up

管理リポジトリ(OMRとも呼ばれるデータベース)は別途リスナーと共に先に起動されています。管理サービス(OMS)の起動コマンドを実行すると、次のようなステップが自動的に実行されます：

• OMS (Oracle Management Service)
• WebLogic (Webtier)
• ノードマネージャやその他のいくつかのコンポーネント

また、12.1.0.4の最新パッチセットや12.1.0.5では、管理リポジトリのサーバー上のエージェントは自動的に起動します：

$ ./emctl start agent
Oracle Enterprise Manager Cloud Control 12c Release 5
Copyright (c) 1996, 2015 Oracle Corporation. All rights reserved.
Agent is already running

さて、Enterprise Manager 13cではこれ以外にいくつかのプロセスの起動とチェックが行われます：

$ ./emctl start oms
Oracle Enterprise Manager Cloud Control 13c Release 1
Copyright (c) 1996, 2015 Oracle Corporation. All rights reserved.
Starting Oracle Management Server...
WebTier Successfully Started
Oracle Management Server Successfully Started
Oracle Management Server is Up
JVMD Engine is Up
Starting BI Publisher Server ...
BI Publisher Server Successfully Started
BI Publisher Server is Up 

この新しい2つのプロセスはEM管理者の方であればご存知かもしれませんが、以前は起動時の処理には含まれていませんでした。

これらのプロセスがすべて "emctl start oms" コマンドで起動されている様子は、

$OMS_HOME/gc_inst/em/EMGC_OMS1/sysman/log/emctl.log
で確認することができます

2016-01-21 17:26:42,077 [main] INFO commands.BaseCommand logAndPrint.653 - Oracle Management Server is Up
2016-01-21 17:26:42,078 [main] INFO commands.BaseCommand printMessage.413 - statusOMS finished with result: 0
2016-01-21 17:26:42,094 [main] INFO ctrl_extn.EmctlCtrlExtnLoader logp.251 - Extensions found: 1
2016-01-21 17:26:42,095 [main] INFO ctrl_extn.EmctlCtrlExtnLoader logp.251 - Executing callback for extensible_sample
2016-01-21 17:26:42,095 [main] INFO ctrl_extn.EmctlCtrlExtnLoader logp.251 - jar is /u01/app/oracle/13c/plugins/oracle.sysman.emas.oms.plugin_13.1.1.0.0/archives/jvmd/em-engines-emctl.jar; class is oracle.sysman.emctl.jvmd.JVMDEmctlStatusImpl
2016-01-21 17:26:42,200 [main] INFO ctrl_extn.EmctlCtrlExtnLoader logp.251 - rsp is 0 message is JVMD Engine is Up
2016-01-21 17:26:42,200 [main] INFO commands.BaseCommand printMessage.426 - extensible_sample rsp is 0 message is JVMD Engine is Up
2016-01-21 17:26:42,201 [main] INFO commands.BaseCommand logAndPrint.653 - JVMD Engine is Up
2016-01-21 17:26:42,242 [main] INFO commands.BaseCommand logAndPrint.653 - BI Publisher Server is Up

JVMD (JVM Diagnostcis) はEMインフラストラクチャに統合されました。EM環境をチューニングするのにとってもJavaヒープの状況がわかることは重要ですので、EMのWebLogicを起動するプロセスに含むというのはもっともなことです。

EM13cでは多くの診断レポートやダッシュボードが新たに追加されており、EM環境が良好なパフォーマンスを保っているかどうかを確認できます。

ログ

重要なログとしてemctl.logのほか、sysmanのログディレクトリに以前はなかった新しいログが登場しています：

• emoms_pbs(*) - ワーカースレッドやバックグラウンドのプロセスのトレースやログ
• pafLogs - おそらくプラグイン関連のサブディレクトリではないでしょうか、現在調べています(**)
• jvmdlogs - JVMDログ用のディレクトリ
• syncopss.log - ウォレット同期用のセキュリティログ

(**) Andrew Bulloch氏の情報提供によると、「pafLogは、Provisioning and Automation Framework(PAF)の出力に関する一連のログファイルです。典型的なものとしては、デプロイメント・プロシージャやその他の自動化タスクで、OMS、より正確にはジョブのサブシステムやタスク・サブシステムが内部的に使います」

リソースと領域使用量

EM管理者としてはこれらの追加コンポーネントによって、どれくらいのメモリが使われるのか(EMをヘビーに使ったりプラグイン等によるものは除きます)知りたいところだと思います

12.1.0.5ではOMS、リポジトリ、Webtierが同じユーザーで実行されるとした場合、その状況は下記のコマンドで知ることができました

ps aux | awk '{arr[$1]+=$4}; END {for (i in arr) {print i,arr[i]}}' | sort -k2

86Mb

13.1.0.0では、この値は50%ほど高くなります (通常の負荷の場合。追加のターゲットや情報収集が無い状態)

133Mb

したがって、(絶対的な量としては少ないため)起動時はそれほど大きな違いはなく、バックグラウンドでレポート機能とJava診断機能を動かすことができます

OMS_HOME用の領域 (ログやGC_INSTディレクトリ、AGENT_HOMEは除きます)も異なります：

12.1.0.5:  12Gb

13.1.0.0:  14Gb

エージェントはEM 13cリリースでより多くの仕事をこなすようになります。私がリリース別のサイズ要件を(OMSとは)分けて書いているのはそのためです

12.1.0.5: 1Gb

13.1.0.0: 3Gb

いかがでしたでしょうか。EM13cへのアップグレードや新規インストールをプランするのに有用な背景情報をもうすこし提供していく予定です